2019年08月18日

サムスンは3年後に消滅する?

 日経ビジネスのサイトに「韓国の半導体産業、世界の供給網への影響も“空騒ぎ”」というタイトルの記事があった。書いたのは中部大学特任教授の細川昌彦氏で、元・経済産業省貿易管理部長だという。この記事は本音なのか、本音なのだとしたら、経済産業省の認識は薄っぺらい。もう退任した人なので、政府を擁護するために書いているのかもしれない。

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 韓国からの度重なる謝罪要求はエスカレートし、歴史の歪曲してもまったく罪悪感を感じないようである。日本が半導体素材の輸出規制を行っただけで、韓国では日本へのボイコットが吹き荒れて、どう見ても日本企業の痛手より、韓国企業の損失が大きい。反対運動にうつつを抜かして抗議活動をしている人たちには、韓国企業の損失は直接関係ないが、徐々にボディブローのように効果が現れるだろう。


 最初に日本政府が規制対象としたのは、
 
レジスト
フッ化ポリイミド
フッ化水素
 
の三つで、これらはの規制は韓国の半導体産業への影響がほとんどないというのが、この記事の趣旨だ。なぜなら、これらの素材は数量ベースでごくわずかしか使われていないためである。たとえば、レジストは「業界関係者によると数量ベースで0.1%程度」だから、影響はほとんどないという。
 
 しかしこの言葉の前に、こうある。
 
規制対象は韓国でまだ試作段階にあるものに使う材料
 
そう、いま販売している半導体製品には規制された素材は関係がない。現在量産化されている半導体製品では規制素材は使われてないので、今すぐは影響はない。しかしいま販売している製品は、競合が激しく、販売量は多くても薄利多売の製品だろう。つまり儲けは少ないはずである。
 
 フッ化ポリイミドについてもこう書かれている。LGグループによると、
 
現在開発中の画面を巻物のように曲げられる新型テレビに使われるもの
 
だという。もし「画面を巻物のように曲げられる新型テレビ」が当たり前になれば、LGグループは巻物テレビの販売から脱落するということを意味する。そんなテレビが普及するかどうかはわからないが、高度な技術を伴う新製品の開発には日本の半導体素材が不可欠であり、韓国ではそういう素材は逆立ちしても生産できない。こういう素材は、製造機があっても、現場でのノウハウ、つまり職人技で製造されていて、他では簡単には真似ができないに違いない。
 
 半導体製品は、日々革新されていく。より高速なもの、より容量の大きなもの、よりサイズの小さいものが求められていく。いわゆるムーアの法則が働く。「半導体の集積率が18ヶ月で2倍になる」という。つまり1年半後には2倍、3年後には4倍の集積率が求められる。もっとも最近の集積率は減速しているが、何れにしても、高性能な製品を先に展開した企業が優位に立つわけである。大きな利益もそこにある。いま量産されているものは、数年後にはゴミになると言っても言い過ぎではない。
 
 日本政府が規制対象にした素材は、試作で使うものなので、これらが自由に入手できなければ、新製品の開発は覚束なくなる。日韓関係が険しくなるなかで、日本政府がカードとして、許可取り消しや遅延をしないという保証はどこにもない。数年すれば最先端の素材はすべて認可制になり、そうなれば韓国企業は最先端の技術で世界と戦うことは難しくなる。
 
 昨年、トランプ政権は中国への米国企業からの半導体製造装置および部品輸出を禁止したが、日本政府も日韓関係がエスカレートすれば、日本企業が韓国に一部の半導体製造装置および部品輸出を規制もしくは禁止する可能性もある。今回の半導体素材の規制は、トランプ政権が噛んでいる可能性が極めて高く、アメリカも韓国への制裁に同調する可能性はある。
 
 認可制になった半導体素材は、徴用工訴訟への報復ではない。徴用工訴訟はトリガーだった。つまり反日をエスカレートさせ、とめどなく謝罪を要求する韓国という国家への「報復」である。韓国とは話し合えない。危険なカードをチラつかせて、ハードネゴシエーションするしかないのである。そこに対話はない。あるのは交渉のみである。
 
 元・経済産業省貿易管理部長がそんなことを知らないはずはないので、この記事は単に政府の公式見解を擁護するために書かれているとしか読めない。このまま続けば、韓国の半導体産業は大きな打撃をうけるだろう。サムスンは韓国外に事業を展開するしかなくなり、完全に韓国企業ではなくなってしまう可能性もある。極端に言えば、3年後にはサムスンという会社はなくなっているのだ。


posted by 上高地 仁 at 10:12| Comment(0) | 日韓問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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