2020年10月31日

はじめに—コロナウイルス発症とネアンデルタール人遺伝子の秘密

 この記事は僕が書いた『コロナウイルス発症とネアンデルタール人遺伝子の秘密』というkindle本のテキストです。いままで書いた本はKDPセレクトにしていましたが、それはやめて今回は99円の最低価格。そして全文公開することにしました。順次、掲載していきます。


 本書は新型コロナウイルス感染の仕組みを、ネアンデルタール人の遺伝子をキーワードにして解説したものです。日本では欧米諸国に比較して、感染者数も、感染して亡くなった方も極めて少ないという事実があります。この不思議な現象は遺伝子に原因があるのではないか、という視点でその仕組みを解説してみました。
 
 ほぼ書きあがったころ、ネアンデルタール人遺伝子の本家であるドイツのマックス・プランク進化人類学研究所のスバンテ・ペーボ氏から、本書の結論とは真逆の提示が行われて、少し驚きました。スバンテ・ペーボがネアンデルタール人遺伝子と新型コロナウイルスとの関係を研究していたとしても、まったく不思議ではありません。
 
 山中伸弥教授の言う「ファクターX」が人の遺伝子に関係している可能性は十分あり、そうであれば、新型コロナウイルスの糸口は思ったより早く見つかるかもしれません。
 
 新型コロナウイルスについての情報は、あまりに満ち満ちていて、どれが価値のあるものなのか、よくわかりません。スタージョンを引き合い出さなくても、99%以上は読むに値しないような気がします。その中でけっこう気になったものが、ニューヨークでの死亡者のうち、働き盛りの黒人の死亡比率が高いことでした。ニューヨークでは黒人だけでなく、ラティーノも高い死亡率を示していました。ラティーノとは、ラテン系アメリカ人、つまり母国語がスペイン語の人たちです。カリフォルニアのラティーノはほとんどがメキシコ系の人たちですが、ニューヨークのラティーノは西インド諸島の人たちで、大半が黒人の血を受け継いでいます。
 
 ニューヨークに住む黒人はクイーンズ地区に住み、経済的弱者であるというプロトタイプの言説で、これを片付けていいものなのでしょうか。残念ながら、新型コロナウイルスで亡くなった働き盛りのアフリカ系アメリカ人の収入がどういったものなのかという資料は見つけることができませんでした。
 
 しかし、この現象はイギリスでも同じでした。おなじように黒人は感染率が高く、しかも死亡率は高いのです。黒人の死亡率が高いという現象はクロアチア発祥のネアンデルタール人によって、コロナの重症化率が増大するというスバンテ・ペーボの研究結果とは相容れないものです。
 
 たしかにアフリカでは、南アフリカを除き、概ね新型コロナウイルスの感染者数も死亡者数も人口比率では極めて低くなっています。それはクロアチアネアンデルタール人の遺伝子が関係しているのかもしれません。
 
 東アジアの人たちは、ネアンデルタール人由来の遺伝子をヨーロッパの白人よりも多く持っています。しかし日本人を含めた東アジアの人々が、クロアチアのネアンデルタール人の遺伝子を持っていない理由はよくわかりません。
 
 とはいえ、新型コロナウイルス感染の仕組みを遺伝子に解を求めた初めての提示であり、注目すべきことだろうとは思います。今後の研究結果に期待したいものです。
 
 
 欧米諸国では百万人換算で、だいだい500人程度の方が亡くなっています。都市単位では、ニューヨーク、ストックホルム、リデジャネイロの三つはダントツで、パンデミック発生後8ヶ月ほどのあいだに百万人換算で3000人近い人の命を奪いました。
 
 日本では亡くなった方は、百万人換算で10人程度。それでも、日本で新型コロナウイルスに感染し亡くなった方はさぞかし残念だったでしょう。また、残された遺族の方の無念の思いにお悔やみを申し上げます。今後、早く新型コロナウイルスに十全の対策がなされることを祈念してやみません。



posted by 上高地 仁 at 21:56| Comment(0) | コロナとネアンデルタール人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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