2020年11月03日

顆粒球は食細胞で構成される—第1章 免疫、免疫、免疫、その謎は闇の中

 免疫の基本的な仕組みが顆粒球です。顆粒球が戦った後が「炎症」と呼ばれるものです。細菌やウイルスが体内に侵入して、それらを退治する実働部隊が顆粒球の中の好中球と呼ばれる免疫細胞です。好中球は、コロナウイルスでの血栓死に関与していると考えられています。


 まず顆粒球。顆粒球には三つの種類があります。
 
好中球
好酸球
好塩基球
 
 通常、顆粒球というとき、たいていは好中球を指します。好中球は体内に侵入した細菌などを捕食ための免疫細胞です。体内で増殖すると病気を引き起こす細菌は、好中球が退治します。好中球は顆粒球の中で約90から95%を占めると言われています。いわゆる自然免疫というとき、好中球の働きを指すことが一般的です。
 
 好中球は基本的に血管内に存在しますが、細菌などの外敵が侵入するとその部分に集まります。たとえば、怪我をすると、その部分から細菌が侵入します。それを防ぐためにこれらの外敵の細菌類を好中球が食いまくります。そのために好中球は「食細胞」とも呼ばれます。ただし寿命は短く10〜12時間、長くても1日程度です。
 
 好中球は細菌を食って、体内にある毒でこれらを不活性化します。この毒とは活性酸素のことです。活性酸素で細菌を酸化させて殺してしまうのです。細菌を飽食して死んでしまった好中球のことを「膿」といいます。上部気道で生成された膿は「痰」と呼ばれます。痰が絡むというのは、上部気道が「怪我」をしているのです。
 
 この膿の中には、好中球の成分だけでなく、好中球以外の白血球、死んだ(あるいはまだ生きている)細菌の組織などが含まれます。ちなみにDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)が最初に発見されたのは膿からでした。
 
 好中球などの免疫細胞が戦っている現象を「炎症」といいます。炎症が起これば、多くの好中球などの免疫細胞が役目を果たして死んでいきます。そこでは活性酸素がばらまかれて、生体はダメージを受けます。活性酸素は体内のカタラーゼやスーパーオキシドディスムターゼなどの酵素によって中和されていきます。なお、水素水を飲んだからといって、体内の活性酸素を抑制するかどうかのエビデンスは今のところありません。
 
 細菌が侵入した部位に好中球を集めるのは、サイトカインです。サイトカインとは、細胞から分泌される低分子のタンパク質で他の細胞への情報伝達に使われるものの総称です。マクロファージや肥満細胞(マスト細胞、アレメギーに関与し、かゆみをもたらすヒスタミンを内包する)が放出するサイトカインは、インターロイキン1で、肥満細胞はインターロイキン8などです。これらのサイトカインで刺激を受けた好中球は、血管の壁を通り抜けて患部に集まってきます。また同時に、冬眠状態にある好中球が血管内に移動して活性化します。好中球のプールは血管壁、脾臓、肝臓にあり、血管内に存在する好中球に匹敵する数が待機していると言われています。
 
 通常、血管内の白血球のうちで好中球の割合は60%程度と言われています。ストレスが高くなると、交感神経が働き、好中球の割合が増え、リンパ球(T細胞やB細胞など)が少なくなります。わずかの気圧の変化にも影響を受けて、天気が良くて気圧が高くなるだけでも、交感神経が優位になり、好中球が増えることが知られています。
 
 好酸球は基本的に寄生虫の虫卵などの免疫に関わるとされています。好塩基球もまた寄生虫感染部の多く存在しています。いずれもアレルギー反応に関わっていると言われてます。詳しいことはあまりわかっていないようです。
 
 好酸球は肥満細胞からのインターロイキン-5によって活性し、ヒスタミンを不活性すると言われてます。好塩基球は逆にヒスタミンを産生します。ヒスタミンは例えばアレルギー反応している皮膚のかゆみ(痛み)を起こす物質です。ヒスタミン産生は肥満細胞も関わっています。なお、肥満細胞は細胞の形状が肥満していると言う意味でつけられた名前で、肥満とは関係ありません。花粉症などのアレルギー性鼻炎に関与していると言われています。

01-02kouchukyu.jpg
Wikipediaより。走査型電子顕微鏡写真。好中球(黄色)が 炭疽菌(オレンジ)を貪食しているところ。尚、色は見やすくするために画像処理時に着色したもので、実際の色では無い。by Volker Brinkmann



posted by 上高地 仁 at 23:01| Comment(0) | コロナとネアンデルタール人 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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